氷温する想い

ドアの音せめて聞かせて?

The Green Mile

今週のお題「芸術の秋」

 

っていったら私にとってはやっぱりThe Green Mileですね。

成亮さん、カンパニーの皆様、東京公演、京都公演お疲れさまでした。

 

毎公演ポールの優しさ、コーフィの優しさに涙を誘われて、生きること、救いって何だろうと考えるきっかけになり、グリーンマイルという作品が大好きになった2017年の秋です。

グローブ座の前のほうで観劇したのですが、近いと刑の執行のシーンで本当に立会人になったような錯覚がありました。

 

日本にもある死刑制度。映画の中では死刑について考える暇もなく進んでいた物語が舞台の上ではしっかりと考える時間があり、なくてはならないものなのか、無くてもいいものなのか…。たぶんこの当たり前にあるようで当たり前ではない制度の答えってないんだろうなと感じました。誰が死刑を執行しているのか、指揮官なのか、頭にスポンジを乗せた人間なのか、それとも椅子に座らせた人間なのか、判決を下した裁判官なのか、執行書にサインをした人間なのか…ポールの言った言葉がいまだに脳裏に焼き付いています。この国の国民全員なんだ、と。それが民主主義なんだ、と。

罪を犯していない人を死刑になんてできないというディーンの気持ちも痛いほどわかります、でも大恐慌のあの時代権力のある人でないと判決を覆すことは難しく、職を失うかもしれない不安もあります。どうしようもできない3人の中で「俺はやる、神様に“なぜやった”と聞かれたら仕事だったからって言ってやるんだ、この世の不条理を神様が悔い改めるまで言い続けてやる」と言っていたブルータスがとっても素敵でした。被害者家族の代わりに刑を執行する看守には感情はないのか?というディーンの問いに、何度も何度もリハーサルを重ねて、滞りなく刑を執行する。お迎えが来た人には最期の晩餐のメニューを聞き、頭にスポンジを乗せるのはそうして自分たちを守っているんだとポールの責任感と優しさ、強さに胸を打たれて涙が止まりませんでした。

 

"このグリーンマイルは長すぎる"

このセリフを言うポールの口調が優しい気がしました。

コーフィが何故ポールに長い長いグリーンマイルという罰を与えたのかは分からないのですが、その罰が罪を犯していない人を電気椅子に座らせなければならなったポールの救いになっていてほしいと思います。